屋久島の古民家を借り、夫婦で暮らし始めて1年9ヶ月のSarahです。
世界自然遺産登録をされてから30年。
雄大な自然が残るこの屋久島で、私たちは”できるだけ自然に沿った暮らし”を大切にしています。
「何を持ち、何を手放し、どんな風に暮らしているの?」
そんなことを聞かれることが増えてきたので、これから私たちの「衣・食・住」を少しずつ紹介していきます。
今回はその中でも、「住」についてを私なりの言葉でまとめてみました。
借りた古民家を直しながら大切に住む

私たちが入る前、この家はしばらく誰も住んでいない状態でした。
綺麗に片付けられてはいましたが、畳はふかふかで生活できる環境ではありませんでした。
(古民家あるある:畳の下の大引きがシロアリの被害でボロボロに)
そこから、暮らしながら家を直すという時間を経て、今の私たちにとって心地良い屋久島暮らしが整ってきました。
こうしてお家に手を入れながら過ごす中で、ふと氣付くことがあります。
この感覚はきっと、これまでの私たちの経験があったからこそ感じられるのだろうということ。
- 3ヶ月の車旅(ほぼ車中泊)
- 半年間の家守り(家主さんが不在の家を守る暮らし)
- 床の半分以上がない状態で始まった屋久島暮らし

という経験をすると、
「屋根があって、壁があって、布団で眠れる」
ただこれだけの当たり前のことが、とてつもなく贅沢だと感じるんです。
今住んでいる家は、自然豊かな屋久島の中でも小さな住宅街の真ん中にあり、住む前から
「いつか緑に囲まれた場所に住みたいな〜」
なんて旦那さんとも話していました。
しかし、自分たちで直しながら暮らしていると、共に過ごしているこのお家がどんどん愛おしくなってきています。
いつか自然素材で家を建てるのも楽しそう♪
でも今ここに”すでにある家”に暮らすということは、まさに「足るを知る」ってことなんじゃないかなって思います。
家電は必要最小限。島内で譲ってもらう文化
家が決まった次に考えることは”家電”。
ありがたいことに、別の方から同じタイミングで中古の冷蔵庫をいただけることに!
そして洗濯機はこの家の倉庫に埃を被っていたものを発見。
Youtubeを見ながら分解して掃除してみると…なんと電源が点いたんです。
ただ、使えたのは脱水のみ。
でも当時の私たにはそれでも十分で、しばらくは手洗い+脱水という生活スタイル。
(その後1ヶ月ほどで、使える洗濯機をいただきました)
扇風機も近所の方や実家で使われていなかったものを譲ってもらい、暑い日でも快適に過ごせています。
私が個人で買った家電は
- 保温ジャー
- コンベクションオーブン
この2つだけ。
お米は土鍋で炊くし、電子レンジ、エアコン、テレビ、掃除機など、一般家庭にある家電は我が家には必要ありませんでした。
都会に住んでいると、どうしても消費欲を掻き立てられる機会が多く、
”もっと便利に”
”もっと新しく”
と欲しくなってしまう環境もまた要因だと思います。
そういう意味でも、この少し不便な島で暮らす選択は、私たちにとって一つの大切な理由となっています。
夏の過ごし方|扇風機と自然が最強のクーラー

我が家にはエアコンがないので、夏は扇風機だけで過ごさなければいけません。
日中はどうしても家の中が暑すぎるので、川や海に行き、身体の火照りを冷ましながら過ごす日が多くなります。
家にいるより、外の木陰や日陰のある場所にいる方が断然心地良く過ごせるんです。
さらに外に出てみると、家にいるだけでは出逢えない美しい景色や人とのご縁に出逢える可能性も広がります。
それに私は4年半も西表島で暮らしていたおかげで、夏の暑さにはある程度の”耐性”が付いているのも大きいかもしれません。
家にいられないからこそ出逢える景色があるーー
それを知ってしまって私たちは、きっとこの先もエアコンを買うことは無い氣がしています。
冬の過ごし方|薪ストーブ・湯たんぽ・とにかく厚着
「南の島」と言われる屋久島ですが、冬は思っている以上に寒い島なんです。
九州最高峰・宮之浦岳を始め、トップ10に入る屋久島の山々は冬になると白く雪化粧を見ることができます。
そう、屋久島の山には雪が降るのです。
里に雪が積もることはありませんが、雪をかぶった山から吹き下ろす風はとても冷たく、体感は”南の島”とは思えないほど。
そんな冬を暖かく過ごすために、そこら中に材料がたくさんあるので、我が家では薪ストーブをお迎えしました。

雪国仕様でなければ、自力で設置したら合計10万円もかからずできます。
2人暮らしにしては広めの家なので、家全体がめちゃくちゃあったかいほどにはなりませんが…
メリットはいっぱいあります。
- 常にお湯が沸いている(程よい湿度にも◎)
- 洗濯物が乾く
- 鍋や煮物にガスを使わずストーブで
- なにより、火を眺めるだけで心が落ち着くこと
都会暮では少しハードルが高いかもしれませんが、一戸建てに住んでいる方には本当におすすめしたい暮らし方です。
家具は”自分たちサイズ”で作る
家具といえば、棚やラックなどを新しく買うとなると意外と高いもの。
島内では家具も譲ってくださる方も多いので、それをいただくのもとても助かります。
でも実はーー
材木屋さんの端材や島に生えている竹を利用すれば、”自分の欲しいサイズ”を”格安”で作れるのです。
既製品に家を合わせるのではなく、
「家にピッタリ合うものをつくる」
それこそがDIYの最大のメリットだと思います。

我が家の家具はほとんど作ったものだけ。
そしてどれも暮らしにしっくり馴染んでいて、とても氣に入っています。
ちなみにベッドだけはちょっと特別で、なんと”ホテル仕様のクイーンサイズ(笑)”
自分たちで買うとなるとクイーンサイズは選びませんが、状態が良い中古品を譲っていただいたので使わせてもらっています。
さすがホテル仕様だけあって、寝心地は最高。
この島に移住してから本当にラッキーだらけで感謝しきれません。
寝具は妥協せずに揃えた理由
この家に引っ越したばかりの頃は、この家にあった布団を何度も天日干ししてから使わせてもらっていました。
そして暮らし始めて1年ほど経った頃。
ホテルで使わていたクイーンサイズのマットレスを譲っていただけるという、思いがけないギフトがやってきました。
暮らしにも少し余裕が出てきたタイミングだったので、これを機に寝具を一式新調しました。
- オーガニックコットンシーツ
- オーガニックコットン毛布
- オーガニックコットン掛けカバー
おかげさまで我が家の寝床は超快適で、私的に家の中で1番落ち着くスペース。
人生の1/3は睡眠をとっているからこそ、安眠できる環境づくりは暮らしの中でも大事なポイントです。
もちろん一度に全てを買い替えることは大きな出費。
でもこの先も長く使えることを考えると、優先的に整える価値のあるところなんじゃないかって思います。
以前の私は、1番外側(服や見た目)にお金を掛けがちでした。
今は”自分に近いものほど大事”ということに氣付き、身の回りのものを少しずつ心地良いものへとシフトしていっているところです。
最後に|自分の家を愛でると暮らしも良くなる
家は、ただ過ごす場所ではなく、日々のエネルギーを充電する基地みたいな存在。
その家を少しずつ整えて、手をかけて、氣に入ったものを迎え入れていくと、不思議と暮らし全体もやさしく変わっていきます。
完璧じゃなくていい。
ひとつずつ、自分が心地良くなる選択をしていくこと。
それが「住」を育てるということなんだと思います。
これからも屋久島のこの古民家で、季節の変化とともに暮らしを味わいながら、
家と自分たちの関係をゆっくり育てていきたいなと思っています。
